ブラスのひびき
2023年02月20日

じんざい

 「じんざい」普通は「人材」と書くが、「人財」「人在」「人罪」と書くこともある。字からすると「人財」が一番良くて、「人罪」が一番ダメなんだろうということはイメージできると思う。それぞれの意味は次の通り。

人材⋯実績はないけど成長が期待できる人。最初(新入生)はみんなここからスタートする。普通の人。

人財⋯実績もあり、成長が期待できる人。組織的に欲しがられる人=なくてはならない人。

人在⋯ただ存在しているだけの人。いてもいなくてもいい人。社会人になると、実績はあるけれど、それ以上の成長が見込めない人の場合もある。過去の人。

人罪⋯実績もないし、成長も期待できない人。組織的にはお荷物=いてはいけない人。

 全員が人財(=いなくてはならない人)であることが理想だけれど、なかなかそうもいかない。

 組織には「2:6:2の法則」というものがある。これは、働きバチや働きアリなどの集団を観察していると、全体の約2割の個体は非常によく働き、6割はふつうに働き、2割はサボったり適当に働いていることがわかるというもの。人間の組織でもこの法則はかなり当てはまるという研究結果がある。

 誰であっても組織に入った最初の段階は必ず「人材」に分類されることになる。この「2:6:2」と合わせて考えると、優秀な2割が「人財」、普通の6割が「人材」、ダメな2割が「人罪」と「人在」ということになる。君たちのここでの参加の仕方、過ごし方によって別のステージに移動する場合があるのだ。

 多くの人が「人罪」にはなりたくないという。もう一つ多く聞かれるのは「人財」になれなくても、せめて「人材」にはなりたいというのだ。

 つまり、「人財」>「人材」>「人在」>「人罪」という考え方だ。これ自体は間違ってはいない。

 しかし、多くの人が大きな勘違いをする。それは、「必ずしもなりたい自分になれるわけではない」ということだ。「2:6:2の法則」に当てはめればわかるだろう。最初から「人罪」になりたいと思っている人間はいないのだ。つまり、「人財」になりたいけれど「人材」止まりの場合が多い。では、「せめて人材にはなりたい‥」の人はどうなるかは簡単に想像できるだろう。つまり、今の自分がどんなレベルであったとしても、「人財」を目指すべきなのだよ。そうして頑張っている姿は、それだけで周囲にとっては良い刺激になるからだ。

 では、最もなりたくない「人罪」に該当する人はどういう人達だろうか? それは、頑張っている人の逆で、他人に悪影響を与え、他人よりも自分の気持ちを大切にする人で、次の3人に大体の場合当てはまる。君たちの部内にもいるだろう。そして、誰の心の中にもいるけれども、決して持ち込んではいけないやつらだ。では紹介しよう。

文句大王⋯何をやるにも文句ばかり言ってその場の雰囲気を悪くしていることに気が付かない人。みんなと同じことをやらない訳ではないが、何かひと言いわないと気がすまない人。…)`ε´(

言い訳大魔王⋯常に言い訳が、できない理由が先にくる人物。「そんな事情誰だって持ってんだよ!」ということが理解できず、何とか自分を正当化しようとし、周囲をあきれさせる。聞いている側が「はぁ…? まず謝ってよ!」と思っているんだけどねぇ( ̄□ ̄;)!!

逆切れ超魔王⋯最終進化形態。もはや何を言ってもムダ。言われたことに逆ギレするなら、言われない環境にいればいいのに…。周囲は無言で去っていく。\(☆o☆)/

 人のやる気を邪魔をする人を「人罪」といっていいだろう。言い換えれば、人のやる気に火をつける人を「人財」といっていいだろう。この3種類のようなあからさまな「人罪」はわかりやすいが、頑張りたい「人財」に反応しない「人在(=いるだけ=サイレントキラー)」も、実質的な「人罪」となっている場合も多い。やる気のある人間に使わなくていい余計なエネルギーを使わせるからだ。

 「人罪」の破壊力は非常に大きい。濁りのない透明な液体を「人財」たちが作ろうと努力していても、「人罪」が濁り水をたらせば、その液体は二度と透明感を取り戻すことはない。どんなに美しい音を作ろうと努力しても、そこに汚い音を加えればどういうことになるか‥。想像することは難しくない。

 楽器の経験が浅く、演奏面では大した戦力になれなくても、運営面では「人財」になれる可能性はある。自分の力を発揮し、わずかではあるがみんなの役に立つことのできる可能性は誰にだって秘められているのだ。

 君たちはどういう「じんざい」になりたいかな?

前回書いた「部活は何のためにあるのか」と合わせて考えてみよう。自分を成長させることのできる場だと書いた。人財を目指そう。頑張れば周りが認めてくれる。信じあうことのできる仲間を自分の手で掴み取るのだよ。

カテゴリー「ブラスのひびき」とは、私が現役の教員時代に生徒に配布していた吹奏楽部通信でのタイトルです。そのため、高校生に語りかける文体になっています。予めご了承ください。

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