この話は主に1年生向け。
下のイラストを見てみるといい。桶がある。板の1枚1枚は君達である。中に入っている水はそのバンドの実力(一人ひとりの能力を集めたもの)。高い板の中に何枚か低い板がると、水はそこまでしかたまらない。
この板は音楽面では一人一人の演奏能力を現している。運営面では積極性を表している。いずれにしても、「一番低い板」がどれだけみんなと同じ高さに伸びることができるかが大切なのだ。リーダーたちの板がどんどん高くなっていっても、低い板があれば意味がない。低い板を抜いて高さを揃えた方が水は多く入る。自分がそこにいない方がいい「人罪」という板だったら、抜き取られてしまう。
君たちは自分をバージョンアップさせるために日々練習を積み重ねてくる。音楽室ではその板を貼り合わせているのだ。その結果、自分の頑張りが他者に及ばなかったら、健全なライバル意識を持って自分を成長させることが大事なのだ。
板を止めている留め金はこのバンドの結束力、すなわち協調性を現している。各板が高くても留め金が緩ければ隙間から水は漏れ出す。隣の板とぴったり隙間なくくっつくためには自分自身の一部分を削らなければならない。自分勝手な人間は組織には不必要なのである。
「あなたはみんなと同じ高い板であると堂々と言えるか?」と聞かれたときに自分がどこに当てはまるだろうかな?
演奏能力はすぐに伸びなくても、他の2つは心を入れ替えればすぐにでも変えることができる。そして、演奏能力も「伸びよう」と努力している姿をみんなに見せていけば、待ってくれるだろう。周りからの信頼は行動でしか得ることはできないのだ。
このイラストだって、過去の生徒が私に怒られた時に、「これからの後輩たちの役に立つならと思って描いてきました。よかったら使ってください。」と私に送ってきてくれたものだ。音楽以外の得意分野で、こういう形で役に立つ方法もある。
カテゴリー「ブラスのひびき」とは、私が現役の教員時代に生徒に配布していた吹奏楽部通信でのタイトルです。そのため、高校生に語りかける文体になっています。予めご了承ください。
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