基礎合奏テキスト
2023年02月23日

基礎合奏テキストより

 演奏前のチューニングで注意すべきことと、曲を演奏するときに注意することは全く同じである。

 今回は、「4. バンド全体のチューニング(理論編)」の部分を引用して考えてみることにする。

  1. 注意点

A:個々の楽器が正しい、良い奏法で統一されているか?

    1. 音として生気があるか?
    2. 奏法は正しいか?

正しい、良い奏法で演奏しないと、音程やピッチのコントロールが自由に行うことができない。

     まずはここまで。一つ目。正しい、いい奏法。合奏は花束のようなものだ。一輪一輪が生命力があり、美しく咲き誇っていれば、あとはそれをバランスよく束ねていけば、本数は少なくても美しい花束になる。

     反対に、生命力のない、しおれかけた花で花束を作ろうとしたらどうなるかはすぐに想像がつくだろう。

     ということは、合奏に参加するためには、まず自分自身の音が生命力があって美しく、音に生命力があり、正しい奏法で演奏されているかどうかが重要になる。死んだ音でいくらリズムチェックやピッチチェックを行ったところで、しおれた花は人に渡す前に花束から抜き取られるだけである。

     ということは、ひたすら音質を磨き、正しい技術を身につけることが最優先なのは少し考えれば誰だってわかるはずだが、実際の行動がピッチチェックの締め切りに心を奪われて、大事なことを見失っている場合が多い。

     そもそも、楽器は正しい奏法で音を出した場合、よく響くいい音が出るものなのだ。加えて管楽器はピッチが自然とあってくるのだ。生命力のない、しおれかけた音を出していると、たとえチューニングメーター上ではあっているはずなのに、音の「質(=生命力)」が違うから、音が混ざり合うことはないのだ。

     つまり、合奏に参加するためには、花の品種は違っても(=手にする楽器の種類は違っても)、同じ生命力で生き生きと咲き誇っている花でなくてはならないということだ。

     ここまでが個人の課題(前ページの第一段階)で、次に合奏(第二段階、第三段階)になったときに、

    B:響きのある美しい音と正確なピッチ・音程で統一されているか?

    が問題になってくる。統一させるための「耳」と、音をコントロールする「技術」が求められる。

     小編成バンドの場合、一人ひとりが美しい一輪の花であることが求められる。実際にコンクールの審査講評などでも、「一人ひとりがソリストでなくてはならない」と書かれることが多い。

     もう一度書くが、これらのことを、いくら読んで頭で理解していても、その通りだと心が納得していても、実際に行動し、結果を掴みとらなくては最終的には花束から抜き取られてしまうのだ。

     下の図形を見てみよう。練習の段階が進めば自然とレベルも上がる。その時に自分の実力が低いと、課題が多すぎて支えきれなくなってしまう。

     花束で考えようが、図形で考えようが、君たちが日々どういうレベルで活動し、反省しなければならないかは決まっている。 

    基礎合奏テキストは、

    私が現役の教員時代に生徒たちを指導する際、練習が名目無実化しないためにどう意識づけを行い、練習に目的意識を持たせるかを念頭に置いて作成していったものです。なので、高校生に話しかけるような文体になっています。最後は50ページを超えてしまいました。ここではその一部を紹介しています。

    実際のレッスンでは御校の実態に見合った形にメニューを整えてお配りいたします。