ブラスのひびき
2023年03月12日

PDCA-1

 ここは高校生が一度読んだくらいではほぼ理解できない。何度も読み返すことになるだろう。何回も読んで、少しずつ理解し、実行できるようになっていこう。

PDCAとは?

Plan (計画)

Do (実行)

Check (評価)

Action (改善または調整)

Plan (総括、新たな計画)

 以上の4つの段階を繰り返すことによって、いろいろなことを継続的に改善することをいう。

 月の目標の立て方もいいが、コンクール、文化祭、地区音のように行事ごとに決めるのがいいだろう。学習面で言えば定期考査ごとがいい。あとで詳しく説明するが、あと何日という定量化(=数値化)できるからだ。

 ここでは、今回と次回の2回に分けて、計画を立てる上で必要なことを紹介して行く。

 

① ゴール(目標)を定量化する

 定量化とは、一般には質的にしか表せないと考えられている事物を,(無理やりでも)数量で表そうとすることを言う。

A. 期日を決める

 「時間があったら英語の勉強でもしよう。そうすればいつか英検2級に受かるかも」とか、「目の前の練習課題を全力でやっていれば、金賞をもらえるだろう」とか、期日を決めないとどうしてもこういった積み上げ方式の発想になってしまう。しかし、これではただの出たとこ勝負である。

相田みつをという詩人がいる。その人の詩にこういうものがある。

そのうち

そのうち

弁解しながら

日がくれる(相田みつを)

 誰にでも思い当たる節があるねぇ。例えば、コンクールまであと何日か分かっていなければ「いつまでに…」を設定できない。日数で言えば74日あるが、今日を入れて練習できる日は54日しかない。

B. 定量化する

 ただ「痩せたい」だと具体性はない。しかし、「体脂肪率20%未満」のように、数字を伴うとより目標が具体化する。加えて、「3カ月後には体脂肪率20%未満」のように期日が明確になっていればさらに具体性が増す。1ヶ月ごとの中間目標も設定しやすい

 ところが、音楽の世界では最終的な目標(ゴール)は「感動的な演奏をし、演奏者と聴衆の完全なる一体化」に他ならない。これを定量化することは不可能だ。

 しかし、自分たちの演奏に点数をつけることにより定量化することはできる。コンクールでは「技術」と「表現」の2項目で10点満点で採点される。定量化(数値化)しているわけだ。「金賞を取りたい」ではどういう状態になったら金賞が取れるか全くわからない。しかし、コンクールでは80点以上取ることができればだいたい金賞になる。目標を定量化することができるわけだ。

 点数、回数、達成率、期日などの数字を取り込むことができる。

 

② 現状とのギャップを洗い出す

 ゴールが決まったら、次は現状とのギャップを確認する。「痩せたい」の例では、「3カ月後には体脂肪率20%未満」というゴールに対して、現状25%の体脂肪率なのであれば、定量的なギャップは「5%減」となる。3ヶ月で5%減ならば、1ヶ月当たり2%減を達成できれば確実に達成できる。中間地点のチェックポイントも設定しやすくなる。

 

③ ギャップを埋める課題を考える

 ゴールと現状のギャップが見えたら、そのギャップを埋めるための課題を考える。

 ところが、いざ課題を設定すると、やらなければならないことが多すぎて、何から手をつけていいかわからなくなる。その結果、PDCAサイクルを回せなくなってしまうことはよくある。

 仮にここで課題を見落としていても、定期的に検証を行っていれば、どこかの段階で「もしかして他に課題があるのでは?」と気づくことができる。むしろ、課題を洗い出すためにPDCAを回すという意識が重要なのだ。

 

まとめ

 実は「P」は個人単位ならばすでに出ている。第3号に各部員の月の目標、一年間でどうなりたいか、コンクールはどうしたいか、定期演奏会はどうしたいかが書かれている。月の目標があるのならば、月の最終日は目標を達成していなければならない

 その計画(何もやらないものに対して「計欠く」と皮肉ることもある)を達成するために何をしたのか?(Do)、どこがおかしいのか確認してもらったか?(Check)、指摘していただき、発見した新たな課題を締切日よりも前に達成するべく、行動を起こしたか?(Action) これらを何周も何周も回していくからPDCAサイクルというのだ。

 すでに気づいたものもいるだろう。月の最終日に初めてチェックするのでは、果たせなかった約束や遅れを挽回するチャンスはない

 使えない者(人罪)ほど、数値化できずに「もっと集中力を高めて」とか、「もっと自分に厳しく」とか言ったりするが、そもそも、そういうことができない甘ったれだから自分との約束すら守ることができないし、他人との約束も守ることができないのだ。その結果、居づらくなり、そのうち消えていく。自分の居場所は自分で作って(消して)行くだけなのだ。(次号へ続く)

カテゴリー「ブラスのひびき」とは、私が現役の教員時代に生徒に配布していた吹奏楽部通信でのタイトルです。そのため、高校生に語りかける文体になっています。予めご了承ください。

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