先日、ある都立高校の合唱祭指導に伺いました。クラス単位の学校行事です。高校になると芸術科目は選択科目となるため、クラスの全員が音楽の授業を受けているわけではありません。当然、行事への参加意欲もバラバラです。1クラスあたり20分の持ち時間で7クラスを順次担当していきます。私が2年生を担当しました。2年生の行事は盛り上がりに欠ける場合が多いのが実情です。3年生は全ての行事に「高校生活最後の」という言葉が付きます。1年生も同じく「高校生活最初の」となりますが、2年生にはそれがないため、いわゆる中弛みが発生しやすくなります。2年生に学校行事の意味をきちんと理解させ、意欲的に取り組んでもらう必要が生じます。
学校行事は高校の場合、生徒の自治によって行われるのが基本ですが、学校によっては教員主導でなければ成立しない場合もあります。生徒に自治活動としてなぜこのような学校行事があるのかを理解してもらう必要があります。そのため、私は事前にレジュメを作成し、実行委員の生徒に渡しました。内容は以下の通りです。次回以降、それぞれの内容について解説していきます。
1.発声
- 声は「大きさ」ではなく「響き」で歌うもの
- 基本はフクロウの声
- 母音を響かせる場所を知る
姿勢及び呼吸
- 息は骨盤から吸う
- 吐く時はクラシックバレエの1番
実際に歌う上での注意
- 記号が変われば音量は倍
- 上手な人のマネをする(そうすれば自然に揃ってくる)
- 歌が苦手な人は前に立ち、後ろから答えを教えてもらう
- 同じmfでも、メロディーと他パートとでは音量が違う
- ピアノはとにかく邪魔しがち 独奏と伴奏を分けて
2.表現
歌の語源は「訴える」
- 音読と朗読は違う
- 詩のストーリー、テーマを共有しているか
- 幼児の歌は何も表現していない
3.その他(行事を成功させるために)
違いを尊重し、できる協力の仕方を探す
- みんなが同じことができるわけではない
- 行事にかける思いもバラバラで当然
- 社会なんてほとんどがそんな環境だらけなので、学校行事は将来に向けてのトレーニングの場。
- 会社だったら協力しない人間がいたら会社の業績が悪化するので、協力できない人間はリストラされるだけ。自分が社長の立場だったらすぐにわかること。
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