音楽について
2023年12月07日

思うは招く

 以前4つの「じんざい」について書いた。その中で「人罪」や「人在」は人の心に悪影響を及ぼすと書いた。では、「人財」はどのような人物なのだろう? 「人罪」と逆の言い方をすれば、人の心にいい影響を与える人と言えるだろう。そこで、今回は音楽とは全く関係ないが、日本中が、いや、世界中から必要とされている一人の「人財」について紹介する。

 その人は植松努氏といって、北海道で従業員17人の会社を経営しながら、ロケットの開発に取り組んでいる。年間1万人以上の見学者を受け入れ、年間100回以上全国各地で講演活動を行っている方である。TBSドラマ「下町ロケット」のモデルにもなったと言われている。動画の中では47歳と言っているが、昭和41年生まれなので現在は57歳。

 今日見せる「思うは招く」というスピーチは現在日本で最も感動するスピーチと言われ、YouTubeで230万回(今日現在で750万回)以上再生されている。このスピーチの中には君たちに必要な、背中を押してくれる勇気と愛情に溢れた言葉が詰まっている。以下スピーチの全文を載せておく。今日家に帰ったら大事なところにカラーマーカーで線を引いておこう。そして、譜面入れの1ページ目に大きく書いておこう。でも、スピーチを聴くときにその作業はしてはいけない。音楽をやっている人間は、相手の「音を受け止めているとき」には心で聴かないといけない。聴衆者のマナーだ。君たちの保護者の中にもいるだろう。君たちが真剣に演奏しているのにしっかりと聴かず、一生懸命ビデオに録画している人が。一生懸命聴いているのであれば、余計なことをしている暇などない。失礼な人間になってはいけない。後で一人でいるときでもできるように全文を掲載しているのだから。もう一度見たいのならYouTubeにあるのだから再度検索すればいい。

 ちなみに、「聞く(hear)」と「聴く(kisten)」の違いを知っているだろうか? 「聞く」は自然と耳に入ってくる状態をいう。聞きたいと思わなくても耳に入ってくるのだ。「聴く」は「心」という字が入っている通り、自分から心を込めて耳を傾ける状態をいう。人の話や音楽を「聞く」か「聴く」でその人のマナーがわかるというものだ。「見る」と「観る」も同じ。(よほどつまらない話や音楽のように、送り手側に問題のある場合は仕方がない時もある…)

 植松氏はスピーチの中で、宇宙開発は目的ではなく手段であると言っている。では彼の活動目的は何なのか? なぜそういう思いに至ったのだろうか? 彼は仲間が欲しいと言っている。スピーチに共感できたのなら、君たちも仲間になる。思いを受け継いで、自分たちにも身近なところからできる小さなことにどのようなものがあるだろう? 色々と考えて欲しい。

 たっぷり笑って、たっぷり泣いて、たっぷりと考えて欲しい。では、コンサート会場で音楽に耳を傾けるようにしっかりと聴くこと。

 

スピーチ「思うは招く」全文

 皆さん改めましてこんにちは。緊張がほぐれました。今から皆さんに時間を借りて話を聞いてもらいます。それは「思うは招く」っちゅう話です。僕の母さんが中学生の時に教えてくれた言葉です。思ったらそうなるよ、という意味です。思い続けるって大事です。僕は今日の話で皆さんの中から仲間が見つかったらいいなと思っていますので、ぜひ仲間になって欲しいです。

僕は今から47年前に生まれました植松努と言います。僕は今、北海道の真ん中へんにある赤平という街で生まれて初めて会社を経営しています。

僕たちはそこで本当はリサイクルに使われるマグネットという機械を作っています。でも、その傍らでロケットを作ります。僕たちは宇宙開発が出来て、丸ごとロケットを作って打ち上げができるようになって、そして人工衛星も丸ごと飛ばせるようになった。そして、世界で3つしかない、日本には僕の会社にしかない無重力状態を作る実験装置を持っています。どれも売ってないから買うことができません。でも、自分たちで頑張って作りました。僕にとって宇宙開発は僕の夢じゃないんです。僕にとって宇宙開発は手段に過ぎません。

 

祖父母から教えてもらったこと

 僕は今から47年前に生まれました。小さかった僕にばあちゃんが大事なことを教えてくれました。僕のばあちゃんは、北海道の北にある樺太という島で昔から自動車の会社をやっていて、頑張って働いてお金も豊かに暮らしたそうです。でも、樺太は1945年に突然ソビエト軍が攻めてきてたくさんの人が殺されて、ばあちゃんは自分が貯金したお金が全部紙くずになったことを知ったそうです。

だから、小さい僕に教えてくれました。「お金は値打ちが変わってしまうものだよ。だからくだらない。お金があったら貯金なんかしないで本を買いなさい。頭に入れなさい。そうすれば誰にも取られないし、新しいことを生み出すんだよ。」と教えてくれました。

だから、僕は本屋が大好きな子供になりました。また、僕には大好きなじいちゃんがいました。大きくて優しいじいちゃんです。僕とじいちゃんとの1番の思い出はアポロの月着陸です。

一緒にテレビを見ました。僕が覚えてるのはじいちゃんが見たことないほど喜んでいる姿です。「ほらみれぇー、ほらみれぇー、人が月行ったぞ。お前も月行けるぞ」と喜んでるんです。そんな喜んでるじいちゃんを僕は見たことがなかったんです。僕はその笑顔をもう1回見たかったです。

だから、本屋に行けば宇宙ロケットの本を手に取ったんです。そうすると、じいちゃんはでっかい手で僕の頭を撫でてくれるんです。褒めてくれるんです。僕はきっとじいちゃんの笑顔がみたくて飛行機、ロケットが好きになっちゃったんだろうと思いますので、僕はその後も色んな素晴らしい本に出会います。

 

中学校の先生から言われた夢を砕く言葉

そして、中学生になった頃には僕の夢というのは飛行機やロケットの仕事をすることになっていました。自分なりに一生懸命勉強しました。でも、中学校の先生が僕に教えてくれました。

「夢みたいなことを言ってないでテスト勉強しなさい!」と言われました。確かに僕は飛行機やロケットの事は勉強したけれども、学校の勉強はほったらかしだったんです。何もしていませんでした。そして先生はさらに教えてくれます。

「そもそも宇宙なんちゅうものはよほど頭が良くないと無理だ。凄くお金もかかるだぞ! だから、それは別世界の話だ。お前なんかが出来るわけ無い。」と教えてくれました。僕はとっても悲しくなりました。

そして、考えたんです。夢ってなんだろう? できそうな夢しか見ちゃダメなんでしょうか? でも出来るか出来ないかは一体誰が決めるんだろう? と思いました。やってみなきゃわかんないはずなのに、やったこともない人が決めるのは変じゃないかと思いました。

僕は、今出来ないことを追いかけるのが夢っていうんじゃないのかな? と思ったんです。ところがそうじゃないみたいです。なぜならば、僕はいろんな大人から脅されたんです。ちゃんと勉強しなければいい学校に入れなくて、いい会社に入れなくて大変だよと。僕はあまり成績が良くなかったです。

だから、心配になって質問をしました。いい会社ってなんだろう? って。そしたら大人が教えてくれました。安定していて、楽してお金がもらえるのがいい会社だと言いました。僕は納得できませんでした。勉強すればするほど能力が身に付くはずです。

ところがせっかく身に付けた能力をなるべく使わないで楽をするために勉強するんだったら勉強しなくていいんじゃないの、と思ってしまったんです。でも、お金があると良いことがいっぱいあるかもしれません。

 

作っている人がいるからこそ、お金で買うことができる

例えばこのすごい車(笑)。あー、僕のじゃないです。この車が手に入るのは金持ちだからでしょうか?全然違いますね。この車をお金で買うことが出来るのは、どっかで誰かが頑張って作っているからなんです。もっと良いものを作ろうと、一生懸命研究して努力している人たちがいるから売ってもらえている。だから買うことができているだけの話なんだって。

実は、お金って大したことないんです。だって、お金が必要な夢とか、お金がないと無理な夢は実は誰かがしてくれるサービスに過ぎないんだと。これは、待ってるだけなんです。そして自分が出来なければ、出来ないことをしてもらおうということしかありません。ということは生きていくためにどんどんお金がかかってしまうということなんです。

ところが、自分の出来ることがあればあるほど、それはしてあげられることが増えるから仕事になるかもしれない。ということは、人間が生きていく上で大事なことは出来なかったことが出来るようになることなのかもしれません。

それが、もしかしたら人間にとって素晴らしいことかもしれません。だとしたら僕が考えた今できないことを追いかけるのが夢なんじゃないの? というのは正しいのかもしれないんです。僕は一生懸命自分の大好きなことを追いかけたんです。

 

本の中の人物が僕を助けてくれた

でも、周りの人に理解されなくなりました。友達からも、先生からも、そして親からも「そんなことしてて大丈夫なの?」と言われるんです。「意味なくね?」と。

「何それ自慢?」と言われて、僕はどんどん1人ぼっちになっていくんです。自分の好きなことを人にしゃべることができなくなってしまうんです。でも、そんな僕を助けてくれた人達がいました。その人たちは本の中の人たちです。

僕を助けてくれたのはライト兄弟だったり、エジソンだったり、彼らも誰にも信じてもらえない人たちでした。応援もしてもらえなかったです。でも、彼らは一生懸命頑張ったんです。その人たちが僕を助けてくれました。

だから、僕は頑張ったんです。自分の好きなことをもっと好きになったんです。もっと伸ばしていったんです。僕は紙切りが得意でした。それがどんどん発展していって、どんどんものが作れるようになって、僕は自分の会社を作ってリサイクルのマグネット作ることが出来るようになったんです。僕は会社を経営することになってしまいました。

 

会社の失敗で心がおかしくなってしまった

僕は、生まれて初めて会社経営したんですが、びっくりするぐらいいきなり大成功です(笑)。もうね、年商が10倍ぐらいになっちゃったんですよ。そして、いい気になって大失敗です。2億円の借金を作りました。

自分のせいだと思いました。全部自分で何とかしなきゃいけないと抱え込みました。自分を責めました。そして日本中飛び込み営業に歩いたら、ひどい目ばかり合いました。だから飛行機に乗るたびに「この飛行機、今日こそ落ちてくれ」と祈りました。

でも、飛行機は落ちませんでした。やがて僕は成長して、えげつないことも冷酷なことも出来るようになって、競争相手をやっつけたり陥れたりすることが出来るようになりました。

その人にどんな家族がいるかなんて1つも考えませんでした。やがて売り上げが増えていくと銀行の人は褒めてくれました。でも僕の心はすっかりおかしくなっていて、誰も信じることができません。独りぼっちなんです。

そして、何もかも合理的にしか考えることができないんです。やがて、自分の大切なものも全部捨ててしまおうとまで思ったんです。そんな時、僕は会社が苦しかったもんだから日本中歩いていて色んな人にアドバイスされたんです。

それは「青年会議所に入ったらいいよ、売り上げに繋がるよ。」と言われました。僕はよこしまな気持ちで青年会議所に入りました。ところが、売り上げには繋がりませんでした。

 

人間が生きていくためには自信が欠かせない

でも、そこで僕はかけがえのない、知らなかった人たちと出会うチャンスをもらったんです。僕はそこで友達をつくりました。その友達が僕を誘ってくれました。児童施設に行き、ボランティアを手伝う事になったんです。

ところが、一生懸命準備して行ってみた養護施設の子供たちは親からひどい目に合った子供たちでした。最初は、誰も近寄ってきませんでした。一生懸命関わっていたら、帰る頃には「帰らないで」と言ってくれました。スキンシップも求めてくれました。

友達と一緒に「良い事したね。今日打ち上げどこでしようか。」と帰ろうとしていたら、男の子が自分の夢を聞かせてくれました。その子の夢は親ともう一度暮らすことだそうです。信じられん、と思いました。

なんでひどい目に合わせた親をまだ愛してるのか、と思いました。そして、なんも良い事ができていないわと思いました。だって、いくらお金を寄付したとしても、その子を連れて帰って家の子にしたとしても、何の解決にもなりません。

なぜなら、その子はまだ親を愛しているからです。なんでこんなことが起きるんだろうと思いました。そして自分は何のために人をやっつけてまで金を稼いでいるんだろうと思いました。色んなことがわからなくなりました。ぐるぐるしてしまいました。そしたら、封印していた記憶が蘇ってしまいました。

僕は小学校に上がってすぐに担任の先生にものすごく嫌われたんです。僕が信じていたことやばあちゃんが教えてくれた事は全部否定されました。僕の夢は、お前なんかができるわけがないとさんざん言われました。じいちゃんが撫でてくれた頭を先生に散々殴られました。とっても辛かったです。

でも、それを助けてくれる大人はいなかったです。僕はその先生が言った言葉を忘れていませんでした。その先生は「どーせ無理」という言葉をよく使っていたんです。このどーせ無理という言葉が恐ろしい言葉なんだなと思いました。

これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です。でも、とっても簡単な言葉なんです。これを唱えるだけで何もせずに済んでしまうから、とっても楽ちんになれる恐ろしい言葉でもあるんです。こんな言葉で未来を諦めさせられてしまった人たちは自信を失ってしまうんです。でも人間は生きていくためにはどうしても自信が必要なんです。

 

「どーせ無理」という言葉を使うのは、やったことがない人たち

だから自信をなくしてしまった人たちの中には、お金で自信を買うようになって、身を飾るようになったり、また、それを自慢しなくてはいけなくなったり、そのために人を見下すことをしてしまったり、他の人が頑張ったら困るから努力を邪魔するようになってしまうと思うんです。こういう人が皆さんの身の回りにも、もしかしたらいるかもしれません。

でも、その人たちは自信をなくしてしまった可哀想な人たちなんです。その人たちが自分の自信を守りたくて、しょうがなく他の人の自信を奪ってしまっているのかもしれません。

さらには僕の会社にアフリカの人たちが来てくれました。彼らは僕の話を聞いてくれた後で教えてくれました。今、アフリカでは自分なんて勉強したって無駄だ、努力したって無駄だって、自分の未来や可能性を諦めてしまった人たちが最後には人を殺して奪うようになるんだそうです。なぜならば、頑張れないから生み出せないから奪うしかないんです。

暴力で奪うこともできます。でも、他にも嘘をついたり、弱いフリをしたり、騙したりして、奪うことをもできるんです。皆が奪ってしまったら社会なんか成立しないんです。僕はこの「どーせ無理」という言葉の恐ろしさを知ることができました。

僕はこの「どーせ無理」を人間って最初は知らなかったはずだ、いつ僕たちはこんな言葉を覚えてしまうんだろうって考えたんです。それが宇宙かなと思ったんです。宇宙は美しいです。誰もが小っちゃい頃に1回は憧れるんです。

でも皆さんは自分が宇宙開発できると思っていますか? 宇宙なんてよっぽど頭が良くないと凄くお金がかかると思い込んでいませんか? 国家事業だと思っていませんか? 誰がそれを教えてくれました?

こんなこと教えてくれるのは、やったことがない人なんです。やったことがない人が適当なやらない言い訳を教えてくれるんです。そのせいで僕たちは何をしていいのかわからなくなるのです。何が出来るかもわからなくなってしまうです。

だからこそ僕は、「どーせ無理」という言葉を無くそうと思いました。これが無くなったらいじめや暴力や戦争がなくなるかもしれない。児童虐待もなくなるかもしれないと思いました。だから、僕は誰もがどーせ無理だと思っている宇宙開発をしてみようと思ったんです。

 

永田教授との出会い

ところが、僕はロケットは危ないから作ってはいけないということを知っていました。だから諦めていました。でも、神様がいたんです。神様が北海道大学の永田教授に会わせてくれました。永田教授は奇跡的に安全なロケットの研究をしていました。奇跡的にお金がなくて諦めようとしていました。

僕はお金がないけど物が作れるんです。そんなふたりが出会っちゃったんです。以来、僕は人の出会いには意味があるんだなと思うようになりました。神様はあんたとあんたは会いなさいと会わせてくれているんです。

今日、皆さんと会えているのも神様がそろそろ会ってきな、って言ってくれたんだと思います。僕と永田先生は助け合ったんです。何故ならば2人とも足りなかったからです。実は人は足りないから助けることができるんです。

足りていたら人の助けなんか必要ないじゃないですか? 人は足りないから助け合えるんです。だからこそ足りないことを馬鹿にしていけないんです。恥ずかしいと思う必要もないんです。自分で何をやっても「中途半端だな」と責めることなんか全くなかったんです。

実は中途半端というのは何もしないよりも、何も出来ないよりも全然いいんです。ちょっと出来ているだけマシなんです。だから自分を責めることなく、足りない自分をマイナスに思う必要なく、一生懸命できることをすれば良かったんです。

そんな僕たちは助け合って今では宇宙開発ができるなりました。いろんな研究者が僕の会社に来て実験研究を見てくれるようになりました。

 

教育が子どもの可能性を奪っている

そして今では年に1万人もの子供たちが修学旅行や見学旅行で僕の会社に来てくれるようになりました。正直言うと会社は、17名しかいないです。ちょっと大変です(笑)。だけども、1人でも多くの子供達が可能性を奪われなくなったらいいなと僕は思っています。僕は信じているんです。

「どーせ無理」を無くせば良い社会が来ると思ってます。でも、僕1人にできることは限りがあるからどうしても仲間が欲しいんです。これは僕の代では終わらない夢かもしれないんです。だからこそ、皆さんの力を貸して欲しいんです。

皆さんが今日から「どーせ無理」という言葉に出会ってしまった時に「だったらこうしてみたら」と言ってくれたら、ただそれだけでいつかこの「どーせ無理」という言葉が無くなってこの世からいじめも虐待もなくなるんです。

だから、ぜひ皆さんの力を貸してほしいんです。学問というものがあります。僕らは学問を学んできました。では、学問というのは誰かに評価されるためのものだったんでしょうか? とんでもない間違いですね。学問っちゅうのは、社会の問題を解決するために人類が生み出したもんなんです。

必死になって築き上げたもんなんです。じゃあ、教育ってなんでしょうか? 教育っていうのは失敗の避け方や責任の避け方っちゅう要領の生き方を教えてくれるhow toなのでしょうか? 全然違いますね。教育というものは死に至らない失敗を安全に経験させるためのものだったんです。

でも、それがすっかりおかしくなってしまったんです。なぜかというと失敗をマイナスだと思っている大人がたくさんいたからです。その人たちが皆の可能性と自信を奪ってきたんです。

 

まずいと思ったら逃げるのもあり

でも大丈夫です。これからの日本を良くしていくために、世界を良くしていくためにはやったことのないことをやりたがる人たち、あきらめない人、工夫する人たちが増えればいいんです。「どーせ無理」に負けない人が増えればいいんです。ではそういった人たちがどこにいるのか? 

それは皆です。全ての人がそうなんです。なぜならば僕ら人間は必ず小さい頃を経験するからなんです。皆さんも思い出してみてください。小さい頃はボタンがあったら押してみたかったんです。ハンドルがあったら回してみたかったんです。そして余計なことをするんじゃないと怒られるもんだったんです。

実は、生まれた時から諦め方を知ってる人間なんてこの世に1人もいないんです。皆さんは全員諦め方を知らないで輝いて生まれてきたんです。

でも、僕たちが諦め方をちょっと習っちゃってるかもしれません。そんな自分たちの自信を取り戻すためのとてもいい方法が1つだけあります。それは「やったことがないことをやってみる」なんです。

やったことがないことをやってみるだけで小っこい自信が湧いてきますから。ぜひ皆さんはやったことがないことに挑んでみてほしいと思います。でもやったことがないと失敗するんです。

これは実験映像です。ロケットが火を吹いて飛びました。飛びませんでした。火を吹いてきました。どうすればいいのか? コントローラーを捨てて逃げる(笑)。今どきこんな昭和な逃げ方をする人、なんかなかなかいないですけどね。この実験映像が示していることは、まずいと思ったら逃げるのもありということなんです(笑)。

 

人生はぶっつけ本番だから失敗して当たり前

僕らの知っている限り、真面目で優しくて責任感がある人ばっかり死んでしまうんです。死なないで欲しいんです。生き延びて欲しいんです。だからまずいと思ったら逃げるのも絶対ありなんです。

でも、その時に失敗した自分を、逃げた自分を、諦めた自分を責めないでください。へこまないでください。そんなことする必要ないんです。そんな時に自分の心中はもう苦しいとか、辛いとか、申し訳ないとか、悔しいとか、悲しいとか、恥ずかしいがもうぐるんぐるんして大変なことになってるんです。

でも、このぐるんぐるんしてる最中は、「只今成長中」って言えばいいんです。そしたらプリっと一皮むけるんです。だからぜひ、「ただいま成長中」って言って見てください。

そんな僕らは生まれて初めての1回きりの人生をぶっつけ本番で生きているんです。

そんな僕らは何のために生まれてきたのか。僕らにとって失敗というものはよりよくするためのデータに過ぎません。ぶっつけ本番だから失敗して当たり前です。失敗はよりよくするためのデータだと思って乗り越えて欲しいです。

 

できない理由を探すのではなく、できる理由を考える

僕たちは何かをしてもらうためや、諦めるために生まれてきたんじゃないです。そんなことのために生まれたんじゃないんです。僕たちは世界を救うために生まれました。世界を救うのは簡単です。

世界を構成する全ての人間が、自分なんてと思わないだけで世界は救われてしまいます。今日から1人1人が出来る世界の救い方です。だから、ぜひ今日から救ってください。「自分なんて」と思わないでください。

そしてこれから先、僕らがやっていくべき事は、できない理由を探すことではない、できる理由を考えることです。ただそれだけで世界はあっという間に良くなるんです。

僕の長い話がやっと終わります。僕は、小さい頃から飛行機やロケットが好きでした。でもやったことがない人はできるわけないと散々言いました。母さんは、「思うが招く」と教えてくれました。思い続けたらできるようなりました。だから思い続けるって大事です。

そして最後にこの一言があれば、どんな夢も叶っちゃうよという言葉をプレゼントして終わりにしたいと思います。それは「だったらこうしてみたら」で夢は叶うんです。考えてみてください。自分の夢をしゃべった時、「いや、それ無理だわ」なんて言われたら元気なんかなくなります。

でも、だったらこうしてみたら? このあいだ本屋にこんな本あったよ。このあいだテレビでこんな番組やってたよと言われたら、もっと元気が沸くじゃないですか、そのほうが絶対楽しいです。

だからお互いに夢を喋って、お互いに「だったらこうしてみたら」と言い合っていたら、全員の夢が叶ってしまいます。全員が有名人になってしまいます。素晴らしいですね。だからぜひ、「だったらこうしてみたら」が世界中で流行ったらいいなって、そしたら「どーせ無理」が無くなるだろうなと、ぜひ皆で「だったらこうしてみたら」を流行らしていきたいと思います。

それは、僕たちが出会えた意味かもしれません。だから、お互い助け合っていきたいと思います。ということで、僕もこれから頑張ります。せっかく出会いましたから、これからも仲良くして欲しいと思います。今日は、本当にありがとございました。(以上)

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カテゴリー「ブラスのひびき」とは、私が現役の教員時代に生徒に配布していた吹奏楽部通信でのタイトルです。そのため、高校生に語りかける文体になっています。予めご了承ください。