ブラスのひびき
2021年04月17日

緊張と出力のメカニズムを知る

舞台などで緊張してしまい、いつも通りの力が出せなかったという経験は誰にでもあるもの。果たして、緊張は「敵」なのでしょうか? この問題にタレントの武井壮さんは以下のように答えています。質問者は小6のバレーボールをやっている女の子です。

私はバレーボールチームでキャプテンをやっています。コロナの自粛明けであまり練習ができない中、試合がありました。残念ながら負けてしまいましたがいいプレーができたと思います。けれど最初はみんなも緊張してしまって、思うようにプレーができませんでした。どうしたらみんなの緊張をやわらげることができるでしょうか?

(神奈川県・さきちゃん 11歳 小学6年生)

武井さんのお話は、以下のようなものです。

まず、緊張というものをマイナスなものと考えないことからスタートしてみてください。スポーツをする前にドキドキして体が震えてきたりするのは、普段はなかなか出せないすごい力が出る前兆なんです。もしチームメイトが緊張していたら「みんな緊張してる?」って聞いてあげてください。「緊張してる」ってみんなが言ったら、「よし、これはチャンスだよ。緊張しているときはいつもより力が出るから、いつも以上に力を出して絶対勝とうね!」って声をかけてあげてください。スポーツで精神的なことが影響しちゃうのは決して緊張のせいではないんです。成功させたいと思ったときに成功させる実力がないだけなんです。どんなにリラックスしていても失敗はします。それなのに失敗するのは緊張しているからだと思うから、緊張が敵になっちゃうんです。だから今度緊張したときには「よし、チャンスだ!」というふうに思ってください。 

2020年12月14日 TBSラジオ「伊集院光とらじおと」より

ここで大切なことは

・緊張というものをマイナスなものと考えないことからスタートしてみる。

・緊張はチャンス。普段はなかなか出せないすごい力が出る前兆。

・失敗するのは緊張しているからだと思うから、緊張が敵になる。成功させる実力がないだけ。

緊張しちゃだめだってみんな言うけど、授業のとき先生に「みんな緊張感がないぞ」って言われたことない? ということは、先生は「緊張はしていい、したほうがいい」って言ってるのと同じだよね。

2020年12月14日 TBSラジオ「伊集院光とらじおと」より

人間の脳は否定的な内容の言葉を消化できないようにできているそうです。

ですから、「失敗しないように」という言葉がけをすると、「失敗」というキーワードに支配されて、身体が萎縮してしまうそうです。

同じ内容を伝えるとき、禁止的な表現を使うのではなく、今何をするべきかを伝えるようにすることが重要でしょう。

 緊張が解けて落ち着いてしまうと、かえって普段と同じぐらいの力しか出なくなっちゃうので、いかに緊張感を保って集中できるかというのが大事です。それともう一つ大事なのは、緊張した状態でどれだけ練習したことがあるかということ。普段、緊張感がなく練習している子が試合のときだけ緊張すると、いつもより力が出てしまうので失敗するんです。練習でいかに緊張感を持ったビリビリした体で時間を過ごせるかがスポーツではすごく大事です。ぜひ緊張を「仲間」にして、もう一人のチームメイトみたいにして試合をしてほしいと思います。

2020年12月14日 TBSラジオ「伊集院光とらじおと」より

  • 緊張が解けて落ち着いてしまうと、かえって普段と同じぐらいの力しか出ない。
  • 緊張した状態でどれだけ練習したことがあるかということ。

ロシアのフィギュアスケートのコーチの言葉に、「練習では150%、試合では110%の力で臨みなさい。」という言葉がありますが、同じことを指し示していると思います。毎日の練習にどのような緊張感を持たせるかが、本番を楽しむために欠かすことのできない指導者側が配慮しなくてはならないことですね。後日、相談した小学生から再度連絡があり、アドバイスのおかげで気持ちを変えることができ、楽しんで試合に臨むことができ、結果試合にも勝つことができたそうです。さすが百獣の王、アドバイスも超一流ですね。

https://www.tbsradio.jp/547907