ブラスのひびき
2021年05月13日

徒然草に学ぶ(人は成長しない生き物)

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というオットー・フォン・ビスマルク(1815年 – 1898年 初代ドイツ帝国宰相)の言葉があります。洋の東西を問わず、こうしたいつの時代にも通用する金言は数多く存在します。

 日本にも同じようなことをビスマルクよりも前に示している書物があります。徒然草です。徒然草(兼好法師)は鎌倉時代に書かれました。枕草子(清少納言・平安時代)、方丈記(鴨長明・鎌倉前期)とともに日本三大随筆と呼ばれています。

以下の500年以上前に書かれた随筆も、そのあたりを鋭く突いています。その中の第百五十段「能をつかんとする人」には、現代でもぴったり当てはまる秀逸な文があります。

(以下現代語訳)

 これから芸事を身につけようとする人は、とかく「ヘタクソなうちは誰にも見せたくない。こっそり練習して、ある程度見られるようになってから披露するのがカッコいい」と言うものだけど、そういうことを言っている人が最終的にモノになった例はひとつもない。

 まだ未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざって、バカにされて笑われて、それでも恥ずかしがらずに頑張っていれば、特別な才能がなくても上達できる。道を踏み外したり、我流に固執することもないだろう。そのまま練習し続けていれば、そういう態度をバカにしていた人たちを遙かに超えて、達人になっていく。人間的にも成長するし、周囲からの尊敬も得られる。

 いまは「天下に並ぶ者なし」と言われている人でも、最初は笑われ、けなされ、屈辱を味わった。それでもその人が正しく学び、その道を一歩一歩進み続けてきたおかげで、多くの人がその教えを授かることが出来るようになった。どんな世界でも、同じである。(以上)

 真に謙虚な人は恥をかいている期間は「ただいま成長中!」とポジティブに考えているので、そもそも恥などと思っていないものです。自分を成長させるために、真に自分を大切に扱っています。反対に、自分のことを甘やかして、結果的に大きな恥をかくということをさせない。自分を成長させるPDCAができているのです。