ブラスのひびき
2021年10月11日

大人と子どもの違い

 よく中学生は子どもの最上級生、高校生は大人の新入生のような言葉が聞かれます。

2022年4月1日から民法上の成人が20歳から18歳に引き下げられます。ここでは法律上の大人ではなく、人間として成長していく過程の中での大人と子どもの違いについて考えてみたいと思います。部活動指導中などにお役に立つ部分があれば幸いです。大きなキーワードは2つ。「社会的定位」と「対他的配慮」です。

 

★1つ目のキーワードは「社会的定位」です。これは、社会の中で自分のポジションをどのようにして見つけていくかということです。つまり、子どもは、家庭の中で生きているのですが、大人は、社会の中で生きているのです。


 家庭内→小学校→中学校→高校→社会と、年齢の成長に伴いどんどん取り巻く環境が広がっていく中で、社会的経験値を増して成長し、適応していく能力を養っていく必要があるのです。幼子の時は家の中が全て、保育園・幼稚園でで家族以外の人と接し、集団成果を経験して大人を独り占めできない環境に出会い、生活訓練的な過ごし方から学習の場として小学校、複数の小学校が集まって中学校、高校は東京都なら都内全域から、その後は日本中、世界中が関わることになります。最終的には社会は学校ではないので、実務面のスキルアップのための研修はしますが、社会的定位の獲得のために社内教育などはしません。突き放され、放り出されます。その時までに自力で自身の社会的定位を築けないと早期退職などの遠因となり得ることでしょう。


★2つ目のキーワードは「対他的配慮」です。これは、自分が何かアクションを起こしたときに周りがどう感じるかを考えることです。


 子どもの行動は主観的なので、自分が自分が…となります。例えば、「お話聞いて」、「お絵描きしたの見て」など自分自身の欲求を満たすための行動に代表されますね。それに対して、大人は自分以外の目(客観性)を持っています。逆の場合も含め、相手を充足させることが結果的に自身をも充足させることに至ることを知っています。

対他的配慮に欠ける例をいくつか挙げてみましょう。
・実社会、ネット社会に関わらず他者への誹謗、中傷
・授業中静かにできない
・家の中と同じように教室の机の周りが散らかっている
・家の中で家族と話すように教員に話しかけている(いわゆる「タメ語」)

 人格の形成期である中学生や高校生の時期は、この対他的配慮の成長度にばらつきがあるので、対応される先生方も苦慮されることでしょう。