ブラスのひびき
2022年03月13日

冥加の心(ありがたいお話)

 仏教の世界には「冥加(みょうが)の心」というものがあります。「知らないうちに受けている、神や仏の加護」という意味です。つまり人々は誰でもさまざまな人たちによって支えられて生きているのだから、感謝の心を忘れないようにしましょう。ということです。

 演奏会などで「感謝の気持ちを込めて演奏します。」のようなセリフをよく耳にします。それ自体は悪いことではありませんが、日常の中で感謝の心をどのように表している団体があるかはそう多くないかもしれません。 

 実践している団体を一つ紹介します。千葉県柏市にある市立柏高等学校です。顧問の石田修一先生は以前セミナーで、次のような内容のことを仰っておられました。

吹奏楽部の1日は全部員による全校舎の清掃から始まります。朝練前の7:30から行います。どこよりも校舎内を多く使わせていただくのですから同然のことです。美しい音楽は美しい環境から生まれます。廊下に落ちているゴミに気付けない、拾うことのできない感性では美しい音楽にたどり着くことはできません。また、一般的に吹奏楽部は学校の嫌われ者です。校舎内を多く使用し、聞きたくない大きな音を出します。もしかしたら私たちのこうした活動を通じて、私たちの活動を認めててもらい、応援してもらえるようになるかもしれません。

感謝の気持ちを行動に移すことはとても大切なことですね。ただやらされているだけでは集団心理で動いているだけなので、主体性は育たないでしょう。自分から小さな「すべきこと」を見つけて行動することは主体的に探しにいくことになるので、品性も磨かれ人間的な成長が期待できるのではないでしょうか。