以前、「間違いだらけの…(速度記号編)」というブログを書いたことがあります。速度記号はメトロノームが示す絶対的な数値ではなく、音楽を演奏する上での一つの参考にするべきだと書きました。古典派の曲によく出てくるAllegro moderato はよく用いられる日本語訳では「速く、中くらいの速さで」となります。少し学語を知っていれば、Allegretto と何が違うのかとお感じになった方もいらっしゃるでしょう。
前回も紹介しましたが、下にある表は洗足学園音楽大学が運営している「洗足オンラインスクール」の中にあるものです。ここで大事なのは一番右側の「言葉の持つ意味」です。さすが音楽大学です。
標語(イタリア語)
Largo
Adagio
Lento
Andante
Moderato
Allegro
Vivace
Presto
よく用いられる日本語訳
(幅広く)ゆるやかに
ゆるやかに
おそく
歩くような速さで
中くらいの速さで
速く
活発に
きわめて速く、 急速に
言葉のもつ意味
「幅のある」「広い」「ゆったりした」
「ゆっくりと」「静かに」
「遅い」「のろい」「ゆるんだ」
「適度にゆるやかな」「平凡な」
「ほどよい」「節度のある」
「陽気な」「快活な」
「元気のよい」「快活な」
「すぐに」「急いで」
洗足オンラインスクールより引用
https://www.senzoku-online.jp/index.html
今回は速度変化に関する用語を取り上げます。「だんだん遅く」を意味するもの代表的な用語にrit. とrall. があります。作曲者が同一の意味として使用している場合もありますが、同じ曲中に双方が用いられていたとしたら意図的に使い分けていると考えるべきでしょう。ritardando は「(速度そのものを)遅くする、グズグズする」という意味ですが、rallentando は「緩める」という意味を持っています。物理的な速度を落とす時にはritardando、速度と共に緊張が弛緩していく時にはrallentando とイメージしてみてはいかがでしょうか。伊和辞典で言葉の持つ意味を調べてみると表現のヒントになります。
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