音楽について
2023年12月06日

すぐやる課

 仕事に対して、「速い」「遅い」と、「正確」「不正確」の二つのベクトルから考えることができる。最も優れているのは「速くて正確」であり、最も劣っているのは「遅くて不正確」であることは誰でもわかるだろう。では、2番目と3番目は次のどちらだろうか? 「速いが不正確」「遅いが正確」

この答えとなるある人物のエピソードを紹介しておこう。

千葉県松戸市長在任中の1969年に「市役所は『市民に役立つ所・市民にとって役に立つ人がいる所』をモットーに、日本初の即応部門「すぐやる課」を市役所に設置。全国的に報道された。

この「すぐやる課」を創設した人は千葉県松戸市長、千葉県議会議長を務め、今は誰もが知るドラックストア「マツモトキヨシ」を創設した、松本清氏である。もう答えはわかるだろう。2番目に正しいのは「速いが不正確」だ。なぜなら、残された時間で修正が十分可能だからだ。遅いが正確なのがなぜ2番目でないかというと、もしそれが間違っていたときに修正する時間がないからだ。

スピード感が大事であるということ、こんなこともすでに歴史が証明してくれている。愚者でなければすぐに取り掛かろう。失敗は改善のためのデータ収集だからだ。最終的に失敗しないためにすぐに動く必要があるのだ。

この話はすでに合奏中に行なっている。にも関わらず、PDCAのDoにすぐに移ることのできない者、それどころか、行動にすら移していない者はせっかくとったメモも自分の行動に活かすことができていない、感受性も行動力もザル人間ということになる。ザルで水を救うことはできないと言われたことは覚えているかな?

組織には「2:6:2の法則」というものがあることはすでに教えてある。これは、働きバチや働きアリなどの集団を観察していると、全体の約2割の個体は非常によく働き、6割はふつうに働き、2割はサボったり適当に働いていることがわかるというもの。人間の組織でもこの法則はかなり当てはまるという研究結果がある。

誰であっても組織に入った最初の段階は必ず「人材」に分類されることになる。この「2:6:2」と合わせて考えると、優秀な2割が「人財」、普通の6割が「人材」、ダメな2割が「人罪」と「人在」ということになる。君たちのここでの参加の仕方、過ごし方によって別のステージに移動する場合があるのだ。

上の図を見てみよう。左側が現状。新しいことを習った場合、「人財」は「すぐやる課」の職員なので真っ先に成長が始まる。「人材」の成長に伴い「人材」もついていこうとする。これが真ん中の状態だ。最終的には「人在」も「人罪」も引き上げられ、組織全体のレベルが上がるということになる。緑色の3つの組織は「2:6:2の法則」であることは同じであっても、最高点や平均点は大きく異なっている。

何かにすぐに取り組むことによって、何もしないよりは確実に一歩進んでいる。どんなに小さなことであってもまずはやってみることが大切なのだ。そして、できない自分を嘆き悲しむのではなく、「どーせ無理」と自分を粗末に扱うのではなく、「ただいま成長中!」と思うことが大切なのだ。そう思うことが自分を大切にすることにつながる。結果何かを掴み取ることができればそれは自己肯定感につながる。自己肯定感の強い人は他人を決して攻撃しない。優しい、優れた人間になれる。

 

次回「思うは招く」へ続く…

 

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カテゴリー「ブラスのひびき」とは、私が現役の教員時代に生徒に配布していた吹奏楽部通信でのタイトルです。そのため、高校生に語りかける文体になっています。予めご了承ください。